Vol.3 志知 希美さん in 京都

 

新シリーズ Cohana and Ninigi

ハンドメイドに恋して、ハンドメイドと生きてる! そんな「人」を特集するシリーズです。手芸でにぎやかに実り豊かに活躍されている「人」を中心に、Cohanaとのご縁を交えて、さまざまな視点でハンドメイドの世界を紹介していきます。

 

Cohana and Ninigi Vol.3

志知 希美(しち のぞみ)さん in 京都

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伝統の加賀ゆびぬきを追求し、2021年に「アトリエ立夏」を京都で創業。伝統的なゆびぬきだけにはとどまらず、その技術を応用した糸で織りなすジュエリーも創作されています。

志知さん実は、Cohanaのブランド立ち上げ時代にクリエイティブのメンバーとして最初の商品ラインナップのプロデュースに携わってくれた人物です。Cohanaから独立後は、伝統の継承と新しい感性で、繊細で美しい作品を次々と生み出されています。作る喜びを広めるワークショップも積極的に開催されています。

 

Vol.3前編、Vol.4 後編の2回に分けてお届けいたします。今回は前編、志知さんとCohanaとのご縁やハンドメイドヒストリー、プロになった経緯や加賀ゆびぬきについてなどをお聞きしました。

 

 

Cohanaとのご縁を教えてください

Cohanaはブランド立ち上げ時代、クリエイティブチームのメンバーとして携わらせていただきました。色の選定や商品企画、撮影などを担当させていただきました。私にとってCohanaはやはり思い入れのあるお道具たちなので、今の商品の広がりを見て、とても嬉しく思っています。

使い勝手が良く、ギフトとしてもらっても嬉しい。道具としての良さとデザインの良さを両立しているブランドで、売り手目線でも魅力的に感じ…。現在、私のアトリエのショップでもCohanaをお取り扱いさせていただいています。

 

ハンドメイドのヒストリーを教えてください

小さい頃は絵を描くのが好きな子供でした。絵本作家になりたくて美術大学へ進学したのですが、だんだんと雑貨、特に布ものに興味を持つようになり、染織を学んだのちに、縁あってCohanaの企画に携わることに。さまざまなお仕事の中でも、Cohanaの基本カラーを日本の伝統色から提案し、採用いただいたことは今でも印象に残っています。

絵、染織、Cohana、そして今の生業のゆびぬき… 蛇行してきたように見えて、振り返ると「色が好き」を軸にここまできたのだなあと思います。

ゆびぬきには、金沢に旅した時に参加したワークショップで出会いました。稲妻に打たれたような衝撃があり、それからずっと虜です。京都にアトリエを開き、作品を販売しながら、対面・オンラインのゆびぬき教室を展開しています。

 

大好きなハンドメイドが仕事になったきっかけを教えてください

Cohanaで商品企画を担当しながら、家ではゆびぬきを作るという生活の中、物づくりを生業としている方とお会いする機会が自然に増えていきました。つながりは少しずつ憧れへと変わり、自分の手で生み出したい思いが強くなり、独立することを決めました。

当初から作品を売る作家と教える作家、両輪を回していきたいと思っていたので、私の中では「場」は必須で、絹糸との関わりが深く、馴染みの深い関西…京都に、アトリエを構えることに決めました。

 

加賀ゆびぬきについて教えてください

加賀ゆびぬきは金沢発祥の伝統工芸です。着物を仕立てる仕事をしていたお針子さんたちが、余った糸や布の残り物でゆびぬきを手作りしたことが始まりだそうです。そこから発展し、繊細な彩と美しさで小さな芸術品の域にまで到達しました。裁縫用の道具としても実用的ですが、豊富なデザインと色、軽さから、コレクションや装飾品としても楽しまれています。

加賀ゆびぬきは主に和裁など、手縫いが必要な工芸・手芸に使われます。

道具としても大変実用的で、革や金属のゆびぬきの欠点をクリアしていると言われています。
革のリング状のゆびぬきは、後ろがゴムになっているため毎度前面に針がぶつかり、そのうち穴が開く恐れがありますが、ゆびぬきは回すことでどの面も使えて、長持ちします。
金属のゆびぬきは針が滑って他の指を怪我する恐れがありますが、ゆびぬきは糸がかかっているため、針先が糸に掛かり、滑る心配がありません。

とはいえ、道具としてのゆびぬきは消耗品のため、糸が切れたり摩耗したりということは起こります。ヘビーに使う方は、先人のように一年ごとに新しく作り直せれば、美しさも保てるかなと思います。
私も昔作ったゆびぬきを道具として使っておりますが、手元が綺麗だとやはり、仕事も楽しいですし、捗ります。

 

ゆびぬきの魅力についてお聞かせください

ゆびぬきの魅力は、絹糸の美しい色と模様の奥深さにあると思います。

色彩の美しい絹糸がきゅっと詰まって、きれいに整列して、ひとつの模様が生まれます。糸一本で見る時と、重なったときの色の違いにわくわくし、色が大好きな私には、手で生み出せる「宝石」のように感じました。

 

さらに突き詰めていくと、模様がパズルのように奥深く、何通りも新たなデザインが作り出せる面白さがあります。デザインと色の組み合わせには限りがなく、まったく飽きないところは大きな魅力だと思います。模様の話は、語り出すと長くなりそうなのでこのへんにしておきます…。つまり、マニアなので、話し出すと止まらなくなります。笑

 

 最近手掛けた作品を見せてください

ゆびぬきでつくる寒がりスノーマン

 

冬季限定で販売したキットです。ゆびぬきそのものを作ることも楽しいのですが、ゆびぬきを活かして季節の飾り物を作ったり、その先の展開を考えることも好きです。地域産業と手芸道具、その掛け合わせを日々考えていた、Cohana時代の経験が活かされているように思います。

 

日本の伝統のゆびぬきの繊細な美しさにうっとりします。見た目の美しさが印象的ですが、実用的でもあることにも驚きました。使ってみたいし、作ってみたい!お裁縫箱にゆびぬきがあったらハンドメイドの喜びも広がりそうです!

 

 

ゆびぬきでは基本的に1本しか針を使いません。なので、制作するときはよくボタンマグネットを使います。横向きでマグネットにしっかり止まるので、置いたり掴んだりがスムーズですし、針が落下したときの針拾いとしても使えます。

そして何より、かわいい。小さくて、カラフルで、ゆびぬきと相性ぴったりです。

 

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ご協力ありがとうございました!

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